記号論と地図

2021年4月13日 オフ 投稿者: admin

記号論には統辞論(シンタクティクス)と意味論(セマティクス)とがあります。統辞論とは、記号同士の結合に着目する理論体系であり、意味論とは、記号とその指示物との関係性を探る学問領域です。分かり易く言い直せば、シンタクティクスとは文法であり、セマティクスとは辞書を意味します。地図をこうした理論体系に擬えるのは難しいのですが、敢えて試みれば、地図全体はコンテクストに該当します。コンテクストを成立させているものの一つが語彙ですが、地図の語彙、すなわち地図の辞書とは、「図式」を指します。典型的な図式は、「凡例」と呼ばれるものです。凡例では、地図上の記号が何を意味するのかを纏めて表記しています。実際に記号を示し、その記号が水田や役場を意味することなどが簡単に説明されているのです。地図によっては線の太さや長さ等にも意味や種類があることを凡例で説明しており、一般図においては凡例で厳密に定義しています。一般図ではこの判例が、辞書に当たるのです。

 では主題図における凡例も辞書なのでしょうか。もちろんその通りなのですが、厳密には応用辞書とも呼べるものです。主題図の凡例は地図によってかなり性格の異なるものであることから、どの記号が何を指すかは地図の間で統一されていません。しかしながら、全く統制が取れていないわけでもなく、記号同士を結び付ける文法のようなものは存在しているので、混沌としたものにはならないのです。そこで次に、この「文法」について説明することにしましょう。

 地図の文法を考える上で、当然ながら言語のそれが参考になります。言語には品詞が存在し、それぞれが活用形を持っています。そのアナロジーとして、地図には何々が存在していると考えることもできるでしょう。地図の品詞とは、ずばり種別です。