線記号と名目尺度

2021年2月5日 オフ 投稿者: admin


名目尺度を表現する地図記号の本質は同一律にあります。ですから内容が異なれば、別の線記号を用いなければなりません。しかしこの原則は必ずしも守られていないのが実情です。線記号を用いる上での慣習として、同じ線記号を使うことがあるのです。理由は単純で、線の種類が不足しているからです。その場合、同じ線記号であっても別内容であることを地図上で説明しなければなりませんが、凡例で説明するケースよりも、線の傍に注記して区別するケースが一般的です。

 名義尺度に模様を用いるケースも存在します。その場合、線記号の幅は必然的に太くなります。ですから、使用できる線種はかなり絞られるので注意を要します。線記号としては破線、鎖線等があるので、どうしても触れなければならないのが、線分の長さ、空隙の問題です。但し、文法としてではなく、修辞としての記号の問題です。とはいえ、デザインのバランスがどのように見栄えと関連するのかという、純粋な修辞の問題を指すわけではなく、類似する線同士が並んでしまった場合、比率が弁別にどう影響するのかという、実用上の問題を指しています。例えば線分が長すぎたり、空隙が不自然だったりすると、弁別は難しくなります。

 線記号は順序尺度にも用いられるので、次にそちらを説明することにします。順序尺度の線データとして挙げられるのは、国道、地方道、村道といった、序列をともなった道路です。これらを表現するためには、太さを活かした線種が役立ちます。線データが上位と下位という区別を可能にするものであれば、上位のものは目立つように表現するのが適当でしょう。線記号だけで目立たせるためには、やはり線種に加え、太さを加味するのが一番です。